たいよう

先日、このホームページのスタッフ紹介にも写真が載っている、たいようが亡くなりました。

年齢的にも、持っている病気的にも
よく頑張ってくれた方だと思いますが、
診ていた獣医としては、申し訳ない気持ちも少なからずあります

元々は嫁の実家の犬で、
まだ嫁と結婚する前に、よく

「どうしたら咬まなくなるんだろう?お母さんがまた咬まれたんだけど、、」

と相談を受けるほどの実力者で、
「狂犬」とプリントされたシャツを
これ以上なく着こなしていましたが、

重度の心臓病を発症してからはだいぶ丸くなり、病気の管理も大変でしたので
僕の開業とともに、うちで一緒に暮らしていました。

しばらくは普通のお年寄りとして暮らしていましたが、
お友達のパグに先立たれた後、
自身の心臓病が限界に近づき、
かなり厳しい状況になったことで、最期を実家で。と思い
慣れ親しんだ嫁の実家に戻ったところ

そこから奇跡の復活をとげ、
何か月も大好きな嫁の両親との時間をすごしてくれました。

発作を起こして倒れる前、
最期に散歩したのは、うちの長男でした。

その後、再びうちに戻り、
再再度の復活を信じて治療をしてきましたが、
倒れてから1週間頑張ってくれた後、
静かに亡くなりました。

仕事を理由に僕は参加しませんでしたが、
長楽寺さんでの葬儀では、
ふだんたいして動物に興味なさそうな長男が、
信じられないくらいの号泣をしていたそうです。

もう会えない ということが5歳児なりに理解できたのか

それからもしばらく、
窓際から空を見ながら、
「たいようは元気かなぁ 心配。。」

とつぶやいていました。

 

亡くなるということは
これだけの歴史が終わってしまうということなんですね

救急をやってきましたので、
多くの患者さんの最期に立ち会ってきましたが、
皆さんどういうお気持ちで、僕が助けられなかった子達を見送ったんだろう と思うと
いたたまれなくて、
名古屋市で多くの患者さんが眠る長楽寺さんには
勤務医時代に10年以上名古屋に住んでいて、
近寄ったこともありませんでしたが、

先日初めて、たいようの納骨で中に入りました。

小型犬でしたが、太りすぎて咳が止まらなくなったこともあるたいようが、
あんな小さな箱に納まっているところを見て、
中を見る勇気はなかったですが、
嫁が、「たいよう、きれいな骨だったよ」と教えてくれました。

僕自身が好かれていたわけではないけれど、
子供が生まれる前、たいようを抱いて何度かカインズホームを歩いて散策したことが、
僕とたいようの唯一のほのぼのとした思い出です。
大好きな嫁の家族との生活、好きじゃないけど僕との思い出、その後生まれてきた長男とのちょっと乱暴な散歩
いろいろ思い出して、
幸せな人生であったと、最期に彼が思ってくれたらいいな と
願うばかりです。

いつもマトリックスばりによけていましたが、
一回くらいは咬まれてやってもよかったかな。。

 

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