外来時間を削ってなにをするのか?
6月から、新しい外来時間と勤務体制になりますが、
外来時間を削ることで何をしたいのか?
簡単に言えば、
「自分のやりたい獣医療を、永くやりたい」です。
今の勤務体制では、
いつスタッフに「やめます」と言われても仕方ないブラックな体制であり、
避妊手術など、予約手術は数ヶ月待ち
緊急性の高い手術は夜中にやるしかない
そもそも、コロナ禍でここ3年ろくに学会も行けず、3年前の獣医療をしている状態
(もちろん、獣医療雑誌などは目を通して、可能な限り最新の、、と心がけてはいますが)
最悪です。
今日は、最後の「お勉強」に関わることについて少しお話させていただきます。
昔、勤務医や救急医をやっている時、
一部の動物病院に対して、やや偏見をもって見ていたことがあります。
それらの動物病院は、
昼も夜も、患者さんのためにがんばっている反面、
獣医師が勉強する時間も無いため
やや古い知識による治療がされている印象がありました。
当時、独身の勤務医であった僕としては、
(つまり、恵まれた環境を院長に与えてもらってる若造ですね)
空いた時間で学会や勉強会にできるだけ参加して
新しい知識を得て、患者さんに対応するのが当たり前で、
今思えば、「空いた時間」がある勤務医だからこそできたことなのに、
えらそうに、そういった動物病院のことを、
「古い獣医療を提供する良くない病院」と思い込んでいました。
若い社会人にありがちなアレです。本当にお恥ずかしい。
それらの動物病院の先生方は、生活を削って患者さんを助けていたのに。
今、アラフィフになり、
家庭持ちの院長先生になり、
「空いた時間」てどこ?という状況になって始めて、
勉強と仕事と家庭を両立することの難しさを痛感しています。
「いなべ動物病院を主治医として頼ってくれる人に最良の獣医療を」
と思っているのに、
実際には
疲弊したスタッフ、僕も久野先生も勉強する体力や時間が無く、
コロナの逆風で、すべての学会がウェブ開催になり、
夜中にウェブ上の勉強会に参加してみても、全く頭に入ってこない。。。と。
不思議ですねー
スーツ着て、大阪や東京に行って
朝から晩まで、原始的にメモを取りまくる学会と比べ
ウェブ上の勉強会の、緊張感の無さと言ったら。
‥‥話が逸れましたが、、、
全ての時間を外来時間に充てて、昼も夜も患者さんを助けるべきなのか?
古い獣医療で助けられる患者さんを亡くすことがあるくらいなら、
窓口を狭くしてでも、最新の医療を患者さんに還元すべきなのか?
アラフィフから言わせてもらえば
どちらも間違いでは無く、どちらも実現できれば理想的だと思います。
どちらも実現しようとするなら
病院の規模を大きくして、スタッフを今の倍は雇うべきでしょう。
そうすれば、獣医師や看護師1人にかかる負担は軽減し、
「空いた時間」を確保できます。
では、
いなべ動物病院もそうするべきか?
無理です。そこまでの甲斐性が院長に無い。いやホント申し訳ない。
どちらかしか選べないなら、、となり、
開業当初の初心に返った挙げ句、
僕は後者を選びたいと思い、今回の変更に至りました。
自分本位で申し訳ないですが、
昔からのスタッフが、いつもの飼主さんをちゃんと理解している病院
手術や特殊な処置を、可能な限り早く対応できる病院
自信を持って獣医療を提供できる病院をめざして、
今後も精進してきます。
こんな動物病院で良いと思っていただけるのでしたら
今後ともどうぞよろしくお願いします!